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この際まとめて、幻想小曲集の疑問点を総ざらいします。
1.ピアノパートに全編を通して出て来る、3連符と旋律のヘミオラを弾き分けるかどうか? 弾き分ける演奏と、旋律も楽譜通りに3連符で弾いてしまう演奏の二通りがあります。 2曲目は特に問題になります。 クラリネットの旋律に準じれば、ヘミオラ的に弾き分けた方が良いように思われますが、 そう弾くと3連符の真ん中の音が弱く埋もれがちになり、旋律だけが目立ってやや単純に聞こえる気がします。3連符で弾く演奏では、クラリネットとの対比が逆に出て来るかも。 第1曲に1箇所だけ、楽譜上で両者が区別して書かれている部分がありました。↓56小節目(下の譜例3小節目)の3-4拍目。ここだけ区別して書いているとすると、他は3連符で弾いてよいともとれます。 2.案外大事かも知れないと思うのが、曲間がAttaccaでつなげてあること。 ただし、最後の複縦線の上にフェルマータ記号がありますから(旧ヘンレ版では漏れている!)、普通に間を開けて演奏する例が多いようです。が、間を開けすぎるのはやはり考えものです。 3.シューマンが書き込んだ細かな表情記号やダイナミクス記号をどう解釈するか? 第1曲、クラリネットソロ冒頭のAb音(記譜上)についた<>は何でしょう? ほぼ間違いないのは「泣き」の表情で、ヴィブラートを伴うような情感だろうと思いますが、ピアノパートにも単音の上に<>が付けられていたりするので、若干のルバートと解釈した方がいいのかも知れません。いずれにしろ、この音は「揺れる」のでしょう。 次に問題になるのが、山型の記号です。アクセントと解釈すれば簡単ですが、アクセント記号は他にも出て来ます。この時代の山型記号はテヌートと解釈することが多いともいわれます。 fpは至るところに出て来ます。第2曲には、f、fp、sfpが立て続けに出て来る箇所があります。 多くの演奏では、こうした細かなダイナミクスをことさらには弾き分けていません。「やさしく、表情をもって」(第1曲)、「生き生きと、軽く」(第2曲)という曲全体の雰囲気を壊さないようにという意図からか、ダイナミクスを抑え気味に弾く演奏が多いようです。でも、もう少し対比を出した演奏を聴きたいとも思います。 4.不思議な雰囲気を持つのが、第3曲です。 中間部の「嘆き節」では、変則的な拍子とともに、繰り返しの前に現われるピアノの2度にわたるフォルテの嗚咽(激情?)にギョッとさせられます。 その先にも似た「泣き」が入ります。しかも2小節にわたり2度も繰り返します(この部分のクラリネットのロングトーンはいかにも間が悪い)。 私はこの部分に「ユダヤ節」を感じてしまいます。 ちなみに、上記2箇所の「嗚咽」はEとFの半音程で奏でられますが、この曲の冒頭(第1曲)が、同じEとFの半音程から始まることに注目したいと思います。
by hornpipe
| 2007-11-07 22:59
| クラリネット
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