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人間はものを食べるとき以外、何かを口にくわえることはあまりしないものである。両手がふさがったときに手の代用としてモノをくわえることはあるが、ワンと吠えれば口から落ちてしまう程度の役にしかたたない。
クラリネットを吹くときも両手はふさがっているが、手の代用でマウスピースをくわえているわけではない。くわえなければクラ吹きの人生が始まらないから、常人にはアブノーマルにしか見えない行為に手(口?)を染めるのである。 それでも大抵の初心者は、焼き芋なら喜んでくわえても、それに似た黒い異物を口に入れることには最初、拒否反応を示す。その辺に転がっている物を誰も口にしたいとは思わないはずだが、往々にしてマウスピースはその辺に転がっているのである。 では、初心者はどのようにして純潔を失っていくのだろうか? あまり知られていないことで、親御さんが聞いたらビックリするかも知れないが、先生についた最初のレッスンで、その大事な純潔は無残にも奪われてしまうのだ。 レッスンでは生徒のマウスピースとリードのセッティングをチェックするために、先生が生徒のマウスピースを舐め、生徒に先生のマウスピースを舐めさせる。 いや、事実としては、生徒はヘドが出る思いを必死でこらえながら先生が舐めた自分のマウスピースを口にし、あるいは目をつぶってウッと息を止めながら先生のマウスピースを口にする。 こうして生徒は晴れて弟子入りが許されるのである。 クラリネットの歴史とは、師から弟子へと文字通り「口うつし」で行われてきた種の保存の歴史に他ならない。
by hornpipe
| 2007-06-06 22:56
| 管楽器「害」論
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