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前項、赤坂さんのモーツアルトのクインテットとのカップリングは、ブラームスのクインテット。最初に聴いたときは、いささか細身のブラームスに聞こえて、モーツアルトほどには印象に残らなかったが、聴き込むうちに、モーツアルトに劣らず素晴らしい演奏だという感が強まる。
その良さは第1楽章に集約されている。ブラームスが楽譜に書き記したアーティキュレーション、ダイナミクス、表情記号を、これほど細かく丁寧に描き分けている演奏は他にあまりない。ただ楽譜に忠実というのではなく、そこからしっかりとしたアナリーゼが聴き取れる。例えば、提示部と再現部の第2主題など、モチーフのラインがパート間を行き来するのに、聞こえてくるのはクラのソロばかりという演奏が多い中で、彼らはきちんとメロディラインを浮き彫りにする。 この演奏を聴き、改めてこの作品の印象に残った箇所。例えば第34~36小節間の転調。勢いにまかせず、きっちりとヘミオラ的なリズムを弾き分けることで、アポロン的とでも形容したい壮大な転調効果が現われる。 この後にニ長調の第2主題に落ち着くが、こうした転調の妙は、じつは冒頭の5小節目以降にすでに暗示されていること。 ロ短調ともニ長調ともつかぬ曖昧なノスタルジーを、このアルバムではゆっくりと、静かに、味わうように表現する。 ほんとに細かい箇所だが、再現部に入る直前のin tempoのヴァイオリン(1st&2nd)のアウフタクトが美しい(二人揃ってニュアンス豊かに前の音と弾き分けている)。 少ないモチーフが入れ子細工のように組み合わさって出来ている、この曲の構造を耳で知るにも格好のアルバムだと思う。
by hornpipe
| 2007-01-24 23:31
| ブラームスのクラリネット作品
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