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表現豊かに演奏しようとすれば、自然に体が動く……というのは、今の時代だけに言えることかも知れない。
昔のベルリンフィルの白黒映像などを見ると、弦楽器はともかく、管楽器奏者たちはみな、不気味なほど動かずに演奏している。当時の指揮者たちも直立不動型が多く、身振りは決して「しなやか」とは言いがたい。 これに対して、たまたまDVDで見たアバド指揮マーラー・ユーゲント・オーケストラは、弦楽器も管楽器も大波に揉まれるように上下左右に体を揺すって演奏していた。その是非はともかく(自意識過剰気味な彼らの顔の表情が、ちょっと気色悪い)、視覚的にも演奏効果があることはたしか。やはりDVDで見たラトルのベルリンフィルも、パユ、マイヤー、フックスの木管枢軸など、特によく動く。 つまりは、現代の演奏スタイルが彼らの動きにも反映されているということなのだろう。 戦前の演奏スタイルは面白いほど「動かない」。管楽器など、フルートやオーボエもヴィブラートを使わず、現代の耳には笑ってしまいそうなほど棒吹きに聞こえる。ピアニストの巨匠たちも、テンポやアゴーギグの揺れが今よりは少なく、どちらかと言うと一本調子の演奏に聞こえてしまう。 当時(1930年代~戦後すぐ)は、前の時代の反動から、「楽譜に忠実に」とか「解釈に恣意を交えない」などが声高にいわれ始めた時代で、原典主義も台頭し、それがバロックの復興を呼んで今日につながっているわけだが、途中いつ頃から現在のような表現過多のスタイルに変わったのだろうか? なぜこんなことを考えたかというと、ある日、自分はあまりに体を揺すって演奏していることに気づき、いっぺんに嫌気がさしてしまったから。自分の姿ではなく、あまり上手ではないプロの姿を見てそれに気づいた。表現豊かに演奏しようとするあまり、不自然に体を動かしたのでは、いずれにしろお話にならないわけですね。
by hornpipe
| 2006-02-08 00:14
| 音楽一般
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