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田村和紀夫の本を地元の図書館で検索したら、もう一冊、『音楽史17の視座』(鳴海史生との共著・音楽之友社)が見つかった。
・たとえば、デカルトから啓蒙思想、カントを経て、ショーペンハウエル、キルケゴール、ニーチェへと連なる哲学と思想の歴史が、西洋音楽の歴史とどう密接にリンクしているのか…… ・あるいは、ルネサンスの遠近法の発見、ダ・ヴィンチによって編み出されたスフマート(ぼかし)の技術などが、同時代の音楽にも現れていること…… ・シューマンの《詩人の恋》の内奥にある文学性の解析、それを歌詞のテクストだけでなく、和声などから分析してみせる鮮やかさ…… ・印象派絵画とドビュッシーの音楽の、あまり知られていない「本当」の共通点……などなど。 (ほかにもポピュラー音楽の社会史など) 西洋音楽の歴史を本当に読み解くとはこういうことなんだ、と納得させてくれる堂々たる音楽書だ(惜しむらくは、本のボリュームがやや少ないこと)。 著者の姿勢は「まえがき」に言い尽くされており、その言葉にはとても共感を覚える。 歴史は単なる情報の積み重ねではなく、「わたし」からの問いかけがあって、はじめて生きたものになる。その「わたし」がそこで解釈したものが恣意に陥らないためには、実際の作品にあたって分析してみせることで、「批判可能な」根拠を提示することだ……(かなり意訳してます) 音楽史を語る上での一番の判断資料は、楽譜として残された作品である。なのに、作品(楽譜)を自分の目で見ないで語られる作品論、音楽論が多すぎると思う--なんて、人のことは言えません。
by hornpipe
| 2009-06-03 23:02
| 音楽一般
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