カテゴリ
最新の記事
以前の記事
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
期待して読み出したけど、意外につまらないのが『名曲悪口事典』(ニコラス・スロニムスキー編・音楽之友社)。
同時代の新聞批評や評論、音楽家たちのコメントなどから名曲の悪口ばかりを集めた。 つまらないのは、ワンパターンの批評が多いからだ。次などその典型…… 「私見によれば、ベルリオーズは新時代の楽派の作曲家としては、まるで考慮するにあたらない。(中略)彼にはインスピレーションの息吹がなく、才能の閃きもないのだ……」(ボストン・デイリー・アドヴァタイザー) この批評自体、まるでインスピレーションの息吹がなく、才能の閃きもない、考慮するにあたらない批評だと自分の口で言ってるようなもの(笑)。 でも考えてみれば、録音再生機械がなかった時代だし、曲を一度だけ聴いて批評するのは難しかっただろう、と同情しないでもない。 そんななかでも、次の批評などは、さすがバーナード・ショー、健闘している方かも。 「ブラームスの交響曲から美辞麗句をはぎ取ると、一連の不完全なダンス曲とバラード曲が残る。これらは、ピカデリーの店先のウィンドーに(中略)映し出される通行人と同じく、有機的な首尾一貫性を持たずに、次々と連なっていく」(ジョージ・バーナード・ショー) 不完全なダンス曲(4番第1楽章のタンゴ?)とバラード曲(3番第3楽章のホルンソロ?)が残る、というのは半分当たっているのでは、とも思うし。 ブラームスは、フーゴー・ヴォルフは言うに及ばず、チャイコフスキーにまで次のようにけなされている。日記ということもあり、感情まるだし。 「悪漢ブラームスの音楽を弾き直してみた。なんと才能のないやつなのだ! このように思い上がった凡人が天才と認められていることにいらだちを感じる。(中略)ブラームスは混乱していて全くくだらないやつだ」(チャイコフスキー) 先の批評と同じく紋切り型の悪口なのに、説得力が違う(?)と感じるから面白い。 辛らつさで有名なハンスリックの批評もこの本には幾つか載っているが、こうした中ではとてもレベルが高く、作品を聴き取る能力が高いことが伺える。
by hornpipe
| 2009-01-14 23:19
| 音楽一般
|
ファン申請 |
||