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息のスピードと息の圧力……これは、英語圏の金管奏者たちがよく使う「コールド・エア」と「ホット・エア」に対応すると思う。
手のひらにゆっくりと温かい息を当てるような息がホット・エアで、アメリカのトランペットやユーフォニアム奏者たちが講習会などで日本の学生たちを教えるときに、「楽器を吹くときは息圧のあるホット・エアを使え」とよくアドバイスする。 しかし、そのホット・エアでは口の中をどのようにしたらいいのかまでは教えてくれない。安直にイメージすると、「ハァー」という息で、口の中を出来るだけ広く開けて息を出すように想像してしまう。ところが管楽器を吹く場合は、口の中は出来るだけ狭くした方が(舌の位置を高くした方が)良いということは、ジャズ、クラシックのトランペットはじめトロンボーン、ホルン、それにクラリネットなどでも最近よくいわれ始めているのである。 だとすると、口の中を狭くしてホット・エアをどのように作るのかが問題になる。 この点で思い出すのは、N響トランペットのHさんから聞いた話だ。NYフィルのトランペット奏者にレッスンを受けた氏は、「ホット・エアなんだけど、息はものすごく使う。これを掴むのがミソなんだよな」と言った。 管楽器では一般的に、息を大量に使える人ほど上手だとされる。「もっと息を入れろ」「上手になるともっと息が入るようになる」という言葉を聞いたことがない音大生はいないだろう。 最近あるクラリネット奏者から、「フォルテよりピアノの方が息は使う」という言葉を聞いた。たまたまトランペットのエリック宮城も似たようなことを言っている。 「ピアニシモではアパチュア(両唇の開き)を狭めて息の量を絞るのではなく、逆にアパチュアを広げて音にならない息の成分を増やすことで温かいピアニシモが出る」 一方で、「実際は息の量はそれほど必要ではない。それを効率よく使えるかどうかが問題なのだ」ともよくいわれる。 奏法についての、こうした二律背反ともいえる言い方をどう理解したらいいのだろうか? 「息をたっぷり入れる」「息がよく入る」などの言葉は、アンブシュアのほかの要素とからんで二次的に感得される極めて感覚的なもの、ということはないだろうか? あるいは、音が詰まったりアンブシュアが緊張すると、息が入っていないように感じられることの「裏返し」ということはないだろうか?
by hornpipe
| 2008-06-07 11:41
| クラリネット
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