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コリン・ローソンの特別公開講座が東京芸大で行われた。ローソンはクラリネット界の碩学の一人で、今は英国ロイヤル・カレッジの学長をしている。
芸大古楽科の学生たちとモーツアルトのクラリネット五重奏曲、フォルテピアノとヴィオラとの共演でケーゲルシュタット・トリオ、最後にフォルテピアノとのデュオでウェーバーの主題と変奏を演奏し、その間にシャリュモーやバロッククラリネットなどの音も聞かせながらクラリネット史の要点を解説した。 五重奏で使った楽器はバセットホルン型のバセットクラリネット(写真)で、これは歴史的には知られていない(存在しない?)楽器。演奏はきわめてオーソドックス、というより「普通」で、失礼ながら決して面白いと思う演奏ではなかった。古楽器で演奏した芸大生たちは上手だった。 ケーゲルシュタット・トリオでは、ピアノの速いパッセージで「?」と思った音が幾つかあり、後で聞くとベーレンライター版に自筆譜を参考にして手を加えたとのこと。 「第3楽章の冒頭のクラリネットのメロディはドとファが主要な音で、ドはしっかり鳴っても、ファは鳴りにくい曇った音。その対比を出した方がよい」と解説(演奏ではさほど対比を出していなかったけど)。 この3つの楽器ではヴィオラの音量が相対的に大きく聞こえ、一番聞こえにくかったのがピアノだったのが面白い。 聴講していたバッハコレギウムの鈴木雅明教授が、「クラリネットの語源といわれるクラリーノは、楽器ではなく音域の名称なのでは?」と、質問ともウンチクともとれる発言をし、ローソンの同意を得ていた。これはとても良い質問で、日本の多くの解説書で同じ間違いが受け売りされている。 私も、「リードの上向き奏法ではどんな音がしていたと思うか?」「古典クラリネットを吹く人でこの奏法をしている人を見たことがないが?」の二つを質問。前者については、「アーティキュレーションは違って聞こえただろうが、サウンドは同じだと思う」、後者については、「上向き奏法で吹く人は何人かいる。でも、慣れの問題もあり現実には大変だ」という答えを頂いた。 時間があれば、各時代のスタイルについて氏にゆっくり話を聞いてみたかった。
by hornpipe
| 2007-11-12 23:20
| クラリネット
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