カテゴリ
最新の記事
以前の記事
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
第1楽章、冒頭のピアノのテーマは、ブラームスの「辞世の句」であると同時に、クララへの秘密のメッセージも込められている--
クラリネットの磯部周平さん(N響首席)にこのことを教えられて以来、度々楽譜を眺めて来たものの、「では、その後に出て来るクラリネットのメロディラインは何なの?」という疑問はずっと解けずに来た。 が、ふと思いついたこと。 クラリネットの8小節にわたるメロディの骨格は、記譜音でD-C-Bb-Aなのではないか? (クラリネットパートの第2、3、5小節目はつなぎと考える) そう考えると、冒頭第4小節目のピアノのGbからクラリネットの最初の実音Cへの4度跳躍は、ピアノの冒頭の4度跳躍に対応し、さらに順次下降する音型もクラリネットはピアノをなぞっていることになる(拡散しているけれど)。 この「4度跳躍→順次下降」音型は、バッハのマタイ受難曲のコラールに度々出て来る。 このモチーフを、最初期の作品、ピアノソナタ第1番の第2楽章に使ったブラームスは、最晩年のクラリネットソナタにも使った(クララはこのモチーフを聴いた瞬間、自分へのメッセージと理解したと思われる)。さらに、最後の作品となるコラール前奏曲には、このモチーフが素のままの形で登場し、辞世の歌詞まで付けられている……というのが磯部さんの話。 漠然と楽譜を見ていて気付いたことが、もう一つ。 この曲は下降音型だらけなのである。上記のモチーフを経済的に使いまわしていることからすれば当然なのだろうが、そこに音楽修辞学的なメッセージを読み取ることも出来るのではないか? バロック音楽では、下降(半音階)音型は、死や哀悼をあらわすモチーフだった。 他の楽章でも、ときに盛り上がるかにみえるメロディラインも、下降する大きなフレーズの中に飲み込まれてしまっているように見えるのが、この曲の特徴のように思える。
by hornpipe
| 2006-04-13 00:06
| ブラームスのクラリネット作品
|
ファン申請 |
||