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以下は『音楽の聞こえる小さな家』(鎌田勇/時事通信社)からの引用。
(皇太子殿下が)「都内の音楽室」に室内楽の練習にみえる時には、本当に長時間打ち込まれたこともありました。 御所の日程表に皇太子殿下が室内楽の練習にいらした時間が「十時から十一時」と書いてあったので、天皇陛下が 「きのうは短かったんだね。一時間だけだった」 とおっしゃった。 殿下は 「実は、十三時間でした」 と答えられた。 日程表に書いてあったのは「朝の十時から夜の十一時」だったんですね。 著者はこのとき皇太子と一緒に室内楽を楽しんだので、これは実話である。 ヴィオラを弾く皇太子はカルテットがことのほかお気に入りで、都内某所でよくモーツアルト、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームス、ドボルザークなどを楽しみ、その為の個人練習もしっかりとやられるのだそうだ。 この本を読むと、わが皇室の方々は大方の予想よりもずっと音楽に熱心なことに驚かされる。 「よい伴奏ができたらどんなによいでしょう。わたくしは伴奏が本当に好きだし、それに伴奏はむずかしいけれど楽しい」 これはピアノを弾く皇后の言葉(同書から)。 去年だったか一昨年だったか、草津音楽祭でウィーンフィルのシュミードル(クラリネット)らと室内楽を楽しんだことが新聞でも報じられたが、その時の印象がよほど良かったとみえて、その後もプロを招いて同じ曲を演奏されているようだ。 天皇のチェロについてはこんなエピソードが紹介されている。 ある時、御所の演奏会の前に、陛下からお呼びがかかって、伺うと 「ちょっと、下練習をしたいから」 とおっしゃるんです。ご日程の中にちょっと、空き時間がお出来になったのです。 曲は忘れましたが、音楽会でなさる演奏の下ざらえをなさいました。 (中略) 陛下の演奏は、もうそんなに練習される必要がないほど出来上がったものでしたが、本当に一生懸命なさって、五回くらいやりました。 著者によると、陛下がカザルスの「鳥の歌」を弾いたときは、本当に心がこもった演奏で感動したという。「外国の賓客が来て、陛下が演奏なさったらみんな驚き、日本を見直すでしょう」。 皇太子はヴァイオリンも弾き、3人でハイドンやモーツアルトなどのピアノトリオを演奏することもしばしばだったそうだ。 そんな時の心温まる光景が紹介されている。夏に滞在した軽井沢での話。 ある時、みんなで演奏をしていたら急に停電になってしまったのです。本当にもう真っ暗です。どういうわけかそこにはろうそくが準備してあって、そのろうそくを灯してまた練習を始めたのですが 陛下だったか、皇后さまだったかその時、ぽつりと 「モーツアルトの時代に帰ったようですね」 とおっしゃったのが印象的でした。 その昔、皇太子のヴィオラ・ソロを聴いたことがある。曲はディッタースドルフのヴィオラとコントラバスの協奏曲(コントラバスと指揮は堤俊作氏)。 リハーサル中は報道陣のカメラの前で終始笑顔を絶やさなかった殿下だったが、演奏が始まると真剣な表情にかわった。 ふだんから姿勢の良い方だが演奏姿勢も崩れることなく、音楽もまたきっちりとしていて、失礼ながら、室内楽でご一緒したとして、私の方は邪魔することがあっても殿下から邪魔されることは決してないだろう(?)、と思われる演奏だった。
by hornpipe
| 2011-02-27 20:05
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