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毎年その日だけは晴天になる確率が高い「特異日」というのがありますが、大気が澄んで異常なほど遠くが見える遠望の「特異日」というのもあるようです。
山の展望ファンには正月3ケ日がその日にあたり、思わぬ遠望をゲットする期待を胸に正月登山に繰り出します。 外秩父の丸山から北アルプスが見えたという記録は古く、昭和18年に刊行された「登山講座」(山と渓谷社)に正井暉雄氏が記しています。この記録を元に丸山に足しげく通い、ついに同所からの北アルプス撮影と、北アルプスのシンボルとも言える槍ヶ岳まで発見し撮影に成功したのは、畏友T氏でした。 その写真はしかし、手前の山の稜線上に空とも見分けがつかないほど青く重なり、素人にはそれと判断できないほど微妙なものでした。 1996年1月2日、そのT氏に誘われて望遠レンズを手に丸山へ。途中、明け始めた東の空が赤く、「今日は駄目かも知れない」とT氏が漏らします。しかし展望台に上がるや「なんと凄いよ、こりゃあ!」と氏が第一声。指さされた方角を見ると、十石峠の稜線上に思いのほか小さく、しかしはっきりと白く輝く筋のようなもの(肉眼ではそのようにしか見えない)が見えました。双眼鏡で見ると、左から中岳、大喰岳、そしてポツンと尖った山は、紛れもなく槍ヶ岳でした。 冬型の気圧配置の下では、関東がどんなに快晴でも北アルプス方面は雲に覆われます。この日は本州中部が移動性高気圧に覆われ、日本の屋根の天空がすっきりと抜けてくれました。おまけに、一種の蜃気楼現象で、遠くのものが浮き立って見える「気象異常日」だったのです。T氏の経験でも、中岳と大喰岳がつながって見えたことは無かったそうですが、ご覧のように槍ヶ岳は連嶺となって姿を現しています。 双眼鏡で見ると、まさに白凱々の山肌がゆらいで見え、その姿はまことに幻想的でした。 当日、T氏のカメラは運悪く故障。私の安物レンズ(200mm)で撮った写真は、その1ヵ月後の「山と渓谷」誌(1996年3月号)に田代博氏の文とともに掲載されました。 写真上=槍ヶ岳は十石峠左の稜線上の鉄塔(槍隠しの塔と命名)に重なって見える。 写真下=左の白い山が槍ヶ岳、写真中央の双子岳をはさんで右に白くポツポツと見えるのが北ア南部の山
by hornpipe
| 2005-06-26 22:23
| 山の展望
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